再び、岐阜県郡上です。こちらは最近もTVで取り上げられるなどメディア露出も多く、タイトルだけでピンと来る方も多いかも知れません。郡上市内のメーカーが販売しているプレスハムのブランドには、明方(みょうがた) ハム、明宝(めいほう) ハム、の二種類があります。どちらも手作り・低添加を基本とした高級路線のプレスハムで、お土産物としても人気。名前、パッケージ、食味、どれをとても良く似ていて、そしてどちらも美味しい。
この二つ、互いに暖簾分けとか分家と言ったシンプルな関係性ではなく、農協による食糧事業、第3セクターの台頭、地方自治体の生存戦略ーー等々、戦後の社会情勢が多角的に絡んだ中々深い事情があるとのことなのですが、その詳しい内容は各所で紹介されているので割愛させていただくとして、お話を伺って個人的に興味を引かれたのは現在のPR手法でした。
二つのハムの関係を極々掻い摘んで説明するなら、「経営方針を巡る意見対立から担当者がスタッフを引き連れて独立。結果、別々の名称で各々が事業を継続」という、それなりに揉めたであろう経緯で、ここまでは実のところ、よくある話という印象です。
郡上のハムが面白いのは、ともすればちょっとネガティブなこの話題を逆手に使い、それぞれの商品のこだわりを物語るストーリーとして積極的に公開していたり、更には一部店舗ながら「食べ比べセット」として二社の商品を一緒に販売しています。
その時に切れる手札を適切に切る姿勢は理屈としては分かりやすいのですが、それだけに、色々な配慮や感情が先に立ち、意外と実現できない会社も多いことと思います。
この点は実は市内のほうぼうを紹介いただいた際もずっと感じおり、合理的な合意形成をスムーズに進める下地のようなものがどうも奥美濃の風土の中にあるのではないかと考えるに至ったのでした。
どういった背景からこのような特性が表れているのか、現地を訪れた時の様子を交えつつ、引き続き(勝手に)想像していきたいと思います。
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