「お金がかかる」ということ

「会社から業務改善案を求められている」
「なのにいざ提案すると、コストを理由に断られてしまう」
「○○を導入した方が絶対に業務効率が上がるのにーー」
どんな規模の会社でも、現場やそれに近い管理職の方なら一度は経験する場面です。

先日私も知人から相談を受ける機会がありました。
大抵「会社は現場を分かってない」という類の話に終始して有耶無耶になるタイプの話題ですが、その時ふと、もっとシンプルに社内での会話が噛み合っていないのではないかと感じました。

まず業務改善の目的は、営利企業である以上は突き詰めればコスト削減(または売上増)であるはずです。
(工場などやや事情が異なる職場もありますが、仮にそれが安全面への配慮に関することであったとしても、事故のリスク=潜在的なコストを抑制するという文脈であることには違いありません。)

「コストを理由に業務改善案が通らない」というのは別に経営者の言動がその時々で矛盾しているのではなく、
「改善のために掛かる費用に対してそれによって節約できる費用が上回る、つまり最終的に差し引きで得になるイメージが持てるように提案の仕方を工夫して欲しい」
という趣旨の返答を実はされているわけですが、筋道立てた説明がなされないために結果として現場の側は「苦労を分かってもらえない」という意識が残ることになります。

また改善提案を上げる現場の方も施策提案の目的を明確に共有されていないので、現場としての業務効率化が会社にとってどのようなメリットとなるのかを十分に提示できず、こちらもやはり経営側から見て「現場はコスト意識が無い」「経営視点が足りない」というような評価になりがちです。

結局、お互いにやりたいことは一致しているはずなのに、ディスコミュニケーションによって前に進めないでいるのではないかーー。詳しく話を聞いてみて、改めてそんな印象を持ったのでした。

少し話が固くなったので、しばし素敵な坪庭をご覧ください。

さて、これを踏まえて、各当事者ができることは何でしょうか。
会社としては「現場の言い分を会社利益に置き換えて話してもらうよう動機付ける」。
現場としては「現場の改善が会社利益に繋がることを理解してもらうよう説明を心掛ける」。
そして何より、ここまで登場していなかった第三者のアクションについてですが、
現場は会社の稟議を得ることに困難を抱えているので、導入提案をしたい営業担当者は、それを肩代わりしてあげる」ということです。

世の中の製品やサービスの営業は大抵、導入によってどのように業務が改善するのかについては饒舌ですが、その業務改善が会社にとって何故どのようにメリットとなるのかについて、無頓着なことがしばしばあります。
その費用を実際に負担するのは会社であるにも関わらず、です。

案件が決まらず悩んでいる営業の方は、営業先の現場担当者が決裁者にあなたの営業資料を見せた時、導入のメリットをきちんと伝えられるものになっているか、更に検討の余地があるかも知れません。
また新規の製品やサービスを導入したい現場の方は、営業の方にお願いして、会社を説得するための資料作りや提案方法を一緒に考え橋渡しをしてもらう、ということを試してみてはいかがでしょうか。

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この記事を書いた人

星野雅一のアバター 星野雅一 合同会社reshack

翻訳会社でのコーディネーターを経て、
現在はWeb製作・マーケティング全般に従事。
合同会社reshackでは、主にふんわりした方の記事を担当。

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