私の仕事のバイブル、いや人生のバイブルは小林賢太郎著『僕がコントや演劇のために考えていること』(幻冬舎単行本)です。職業はまったく違う小林賢太郎さんですが、仕事において大切にしていることに置き換えると、すごく共感できます。
私の仕事のこだわりについて、この本も紹介しながら、この本の構成に準えてご紹介させていただきます。決してパクりたいのではありません。敬意を込めてです。
ぜひ少しでも興味を持っていただけたら、この本を手に取っていただきたいです。きっと、皆さんの仕事にも応用できる考え方がたくさんあるはずです。
つくり方をつくる
小林賢太郎さんは劇団に所属したことがないそうです。もちろん、お笑いの学校や師匠がいるわけでもなく、教科書もない状態からのスタートだったとのこと。
自分でどうにかするしかなかった小林賢太郎さんは、見よう見まねでつくっていき、あらゆる範囲まで、考えて、実行して、うまくいかなかったを経験したそうです。それを繰り返しながら、結果が出せるようになっていったとか。
これらの経験から小林賢太郎さんが得たものは、とても重要なルールでした。
「コント」とか「演劇」という概念の完成予想図を持たずに、自分のつくりたいものを純粋に形にする、というやり方です。
小林賢太郎著『僕がコントや演劇のために考えていること』(幻冬舎単行本)
コントを作りたいから、コントを作るという思考のプロセスではなく、自分が作りたいものを作ったら「コント」や「演劇」に近かったからそう名乗っているということです。しかし、「ふつうのやり方」ではないので、さまざまな意見の中でお仕事をされている様子です。
もちろん「ふつうのやり方」というのは、多くの人が従うだけの良さがあるからこそスタンダードになったのです。それは先人たちの知恵の結晶で、僕もおおいに学ばせてもらっています。ただし、決まりごとにとらわれていることで、見失う角度があるとすれば、それはとてももったいないことです。
小林賢太郎著『僕がコントや演劇のために考えていること』(幻冬舎単行本)
小林さんが考える一番大切なことは「面白いかどうか」だそうです。つまり、軸はぶらさないことだと思います。それを達成するための手段・やり方は作品ごとに変わってもいい、これは仕事も同じだと思います。
仕事の仕方を考える仕事
私は会社に入るまで仕事という仕事をしたことがありませんでした。ひょんなことから、下駄屋の経営を任せられるまで経営する経験もありません。会社をつくって初めて社長になりました。生まれた時から仕事ができるわけはありませんので、自分でなんとかするしかありませんでした。
特に、経営は本当に何も知らないところから始まりました。いろいろな本と睨めっこしては、自分のお店に落とし込む。いったい何人のお客様が来てくれるのか。下駄の台の価格はいくらが適切なのか。そもそも、このコンセプトや改装計画は正しいのか。それらのことを考えては、打ち合わせをして、再度考えるを繰り返しを経て、1つのストーリーに仕上げていきました。成功も失敗もありましたが、何はうまくいって、うまくいかなかったのかの原因を理解して、ひとつひとつ身体で覚えていった、という感じです。
そんな経験を重ねるうちに、私にとって考える軸をつかまえることができました。それは、「変わらず残るためには、なにを変えるべきか」、を考えることです。前例踏襲を良しとしがちな日本の仕事の進め方を一から見直しました。自分達がしたいことは何なのか。それには何が必要なのか。そして、それは面白いことなのか。一緒に働く人たちと真剣に考えてきました。私の仕事はみなさんの仕事の仕方を考えることなのかもしれません。
けれど多くの人は「変われるはずがない。変わってもうまくいくわけないじゃないか。」と、不安に思う人がいます。人は変化に対して強いストレスを感じると思います。しかし、時代が変わってしまっている以上、仕事の仕方は変えていかないと面白いものが面白いものとして伝わらなくなってしまいます。そこで必要なのが、「真剣」と「覚悟」なのかもしれません。
もちろん「いままでのやり方」は、それでうまくいったから続いてきたものであって、すぐに失敗につながらないので安心があります。そのやり方とは、先人たちの知恵の結晶で、私もおおいに学ばせてもらっています。ただし、そのやり方から脱却できないことで、面白さを伝える機会を逃していることがあるとすれば、それはもったいないことです。
一番大切なのは「面白い仕事ができているか」です。それができているかは、時代に合わせて変わっていっていいと私は思います。「それは普通の仕事の仕方じゃない」と言われたら「そうかもしれませんね」としか答えられないのです。
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